これはある女性と行った小旅行の話である、彼女とは台北のキャバクラで知り合った。二人で烏來温泉へ行き酋長文化村でショーを見て烏來老街で食事をした。温泉に浸かって男と女の時をすごした後で、足湯の温泉魚に足を綺麗にしてもらった。トロッコ列車は水害で休止していたので乗れなかった。それだけでの話である。

林森北路、KTVでの出会い
いつもような失敗もなければ取り立てた成功もない。小さな旅はとても楽しかったが別れは切なかった。甘い思い出は成功と言えるし切ない別れは失敗とも言える。この話を信じて頂けるかどうかは読む人に委ねるしかないが元になる事実は確かに存在する。
時にして男女には信じられない出会いがある。会った瞬間お互いの相性の良さを感じる。一緒にいるのが楽しくなる。その感情は仕事や風俗など場所を選ばない。相性は人間が持つ基本的な機能である。「あなたの人生の科学」という本がある。そこに、女性は子供の生存率を高めるために「自分の持つ免疫の型とできるだけ離れた型を持つ男性」を求めるとある。女性はキスだけで相手の免疫の型がわかるらしい。男にも同じような機能があるはずだ。それが合致したとき相性が良いとなる。
ホセ・リサールはフィリピン独立の英雄である。彼は明治時代に日本を訪れ、旗本の娘「おせいさん」と恋に落ちた。暫く楽しい時を過ごしたがやがて別れがやってきた。リサールは処刑され、おせいさんは日本で英国人と結婚し天寿を全うした。おせいさんのお墓には今でもフィリピン大使館から花が供えられるらしい。フィリピン男性と日本女性が明治時代に出会うというのは信じ難い出来事だ。英雄の出会いとは比べようも無いが、私たち二人も台北で会った。

烏來温泉の誘惑
「明日はどうするの?、お店にまた来る」彼女が聞いてくる。今夜林森北路のキャバクラで出会ったばかりの女性である。丸顔にショートカットがよく似合う。アーモンド型の瞳が活き活きとした印象を与えている。その目はとにかく良く動く。身体といえば、白い肌と大きめの乳房、全体に丸い感じがする。
さっきまでは商売を感じさせない奔放さを見せていた。上になったり後ろを向いたりしながら喘いでいた。今はゆったりとくつろいでいる。「どうする?」「どうしようかな、明日は観光でもしようかな」「どこ行く?」店で会った時から人懐っこい。相性が良いというのはこの事だろう、話していて楽しい。
「明日休みだからガイドできるよ」と顔を寄せてくる。「ガイド料はいくら?」彼女は「8000元」と笑う。そんなことを言われたのは初めてだから高いのか安いのかわからない。台湾ドルが3.5円の頃である。返事をしないでいると「エッチを付けても良いよ」身体をくっつけて来る。
「エッチといっても、夜はみんなと食事しないといけないし・・・」ほんとうはエッチが無くても良かった、彼女ともっと過ごしたかった。男はときに気持ちと反対のことを言いたくなる。彼女は少し考えて「それなら昼にエッチしよう」露骨なことを言う。
「いいところがある、烏來温泉へ行こうよ、エッチつきで8000元は安いよ」「行こうか」彼女が下の方へ手を伸ばしてくる。烏来温泉はどんなところか、想像が膨らむと同時にあそこも膨らんでくる。「スケベ」手がゆっくりと動き出した。

いざ烏來温泉へ
そのような訳で烏來温泉行きのバスに載っている。タクシーと言ったがもったいないと一蹴された。彼女は私の肩に頭を預け寝息を立てている。昨夜帰るのが遅くなったせいだ。「烏來はタイアル族のショーがある、川エビやハチミツ酒に漬けた鶏料理が美味しい、温泉は個室があるから楽しみにして、その後で温泉魚(ウェンチュエンユーというらしい)に足を綺麗してもらおう」さっきまで元気に喋っていたのだがあっという間に寝てしまった。

一時間半くらいのバス旅である。彼女の暖かさと柔らかさを感じながら深い峡谷の緑を眺める。渓谷を抜けると広い河原が見えてきた。ここが烏來らしい。ひし形の模様の橋の先に温泉らしい商店街が見える。
「変なことしなかった」彼女はバスが着くと起きて言う。くるくると動く目が笑っている。バスの中で行っていた酋長文化村へ向かう。酋長文化村はタイアル族の色んな展示物とお土産を売っている。ここでタイアルの伝統的な踊りがあった。ダンスを見たがタイヤルの人と台湾の人達の見分けはつかなかった。

途中に男女一対の大きな像が彫られた大きな建物があった。この像がなかなか露骨なのだ。男は簡易だがイチモツそのものが彫られている、女は一筋の縦線で表されている。ヨーロッパの彫像、ミケランジェロのダビデ像などは男根が写実的に彫られている。だが女性のあそこは衣服で隠されるか柔らかい丘だけだ。ヒンズーのアプサラには縦線があったかもしれない。しかしこんな屋外の丸見えの像の縦線はおおらか過ぎる。こんな風に見せていいのだろうか。

タイアル族の地
酋長文化村、この響きは良い。日本なら誰かがすぐに差別だのなんだのと言い出しそうだ。ここはそんなことは気にしていない。「ショーが始まるよ」ぼんやりとお土産を見ていると腕を引っ張られた。ショーはあるていどの観客が集まると始まるらしい。彼女が身体を寄せてくる。嬉しいけれどちょっと恥ずかしい。
若い男女のダンサーが、タイアル族に伝わる意踊りを披露する。踊りにはそれぞれの意味があるそうだ。ひときわ可愛い女性が豆の収穫を祝う踊りを披露すると鼻の下が伸びてしまう。彼女はその顔を見て胸を押し付けてくる、これは良いなぁ。観客も途中で一緒に踊る。彼女は結婚の踊りに入ってご機嫌になった。
この展開、若い恋人同士のようじゃないか。これでいいのか。彼女はそんな私の戸惑いに関心はなく次は食事だと張り切っている。そういえばなんとなくお腹も減ってきた。レストランは文化村にあるが、烏來老街という商店街で食べることになった。言われるがままである。

一度は行ってみたい烏來老街
烏來老街に、烏來泰雅展示室という無料の博物館がある。無料でタイアル族に関するの展示を見ることができる。顔に入れ墨をした女性たちの写真が多くある。タイアル族は男性だけでなく女性も刺青をしていた。入れ墨は機織りの腕を示す証だった。どの写真も独特の美と迫力がある。魏志倭人伝の「男子は大小なくみな黥面文身す」を思い出す。「タトゥーは嫌い」彼女の感想は一言で終わった。

烏來老街は狭くて人がいっぱいで縁日のようである。レストランというより大衆食堂といった店がたくさんある。日本語のメニューがある。無くても料理は台湾語の名前から簡単に推測できる。現炒野菜は取り立て野菜の炒め物か、竹筒飯は有名な竹筒に入った「おこわ」だ、月桃飯はなんだろう。これはちょっと難しい。
放山土鶏は鶏料理である。四菜一湯附白飯菜任選は、四品の料理にスープとご飯と、料理を選べる定食だ。なるほどなるほどこれは楽しい。お腹が空いてくる。彼女は感心する私をおかしそうに見ていたが、じれったくなったのか「早く食事をしよう、お腹がへったよ」と店へ引っ張っていく。
「食事が終わったら、もう一つのお楽しみがあるから早く行こう」意味深に急かす。だがこんな温泉街で宿泊もせずにそんな事ができる場所があるのか。半信半疑である。まぁ美味しい料理でお腹を膨らませてから考えても遅くはない。「早く、早く」彼女は急ぐのだった。

さてどうなることやら。「台湾 夜遊び KTVの彼女と烏來温泉へ行ってきた」に続く。


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