現地へ行けばなんとかなるのじゃないか、と出かけて来たがわからない。今夜はセクシークラブ(制服店)なるものを味わおう、と出かけてきたがそれらしき店が見当たらないのだ。「やっぱり、ラインで予約が必要だったんじゃない」「ラインを知ってるの」「知らない」「じゃ、駄目じゃん」

旅の教訓 セクシークラブへの行き方は難しい
「このあたりへくれば、ポン引きがやってくる筈なんですけどね」「ポン引きについてって大丈夫」おっさんが4人道路の隅で鳩首会談をしている。ポン引きよりよほど怪しい。「どうしよう、昨日の店にいきましょうか」「イヒッヒ、この子いるかなぁ」スマホを出す男がいる。そこには一糸纏わぬ女性の写真がある。私も昨夜の林さんに会うのも良いかなと思い出していた。
「お店探してますか」男が近づいてくる。きたぁ、これを待ってたんだ、みんなが色めきたつ。交渉が始まる「女の子は制服、可愛いよ。60分4500元、飲み放題、歌い放題」だそうだ。「案内します」ぞろぞろと男について行く。
風俗でポン引きについて行って良いことはないのは鉄板だが、ネットに弱いオヤジが制服店を利用するにはこの方法しかない。ライン予約が一般的らしいので勉強しなくてはと思うのだが、事が終われば忘れてしまう。鶏と同じである。

閑話休題 客家料理を食べに行く
昨日は故宮へ行ったり淡水へ行ったりの忙しい一日だったので昼間はゆっくりして、夜は地元の人の行くレストランに行くことにした。ガイドは台北の大学に留学している学生である。食事代に釣られた学生に案内されたのは客家料理の店だった。観光客向けの店でないのか、メニューがさっぱりわからない。阿公菜、炒鹹豬肉の中国語をみても料理がさっぱり浮かんでこない。
ここはガイドの面目躍如の場面である。阿公菜は川エビと上海ガニ入りの卵焼き、炒鹹豬肉は塩漬け豚肉の炒め物だった。豬肉は猪に見えるが豚のことである。その他の料理も彼に説明してもらって注するしかなかったがどれも美味しい。特に豚の大ぶりなレバーの焼き物は、味が濃厚でビールが進んだ。

客家(はっか)は福建省やその周辺に住んでいる漢民族の集団である。華僑の多くが客家であることは有名だ。ルーツは古代中国の中原や北東部の王族にあると言われる。王族は没落して迫害を受け、福建州や南方に移ったがそこでも迫害を受けた。それを避けるために海外に出た。中国の鄧小平氏、台湾の李登輝総統、シンガポールのリークワンユー首相、タイのインラック・シナワット首相は客家出身である。客家の人脈はアジアを主に世界中に広がっているのだ。
ゴルゴ13の一章に、彼がアメリカのロックフェラー財閥の党首から部下になれと脅される話がある。彼は当然それを断る。すると世界中の金融機関から遮断され銀行から金を引き出す事も飛行機を予約することもできなくなる。そのとき彼を助けたのが客家の華僑だった。窮地を脱したコルゴ13は敵対するものは許さないというルールを実行する。ロックフェラーの党首はゴルゴ13に命を狙われる。党首はレーガン大統領に助けを求めた。「私の言葉など老人の戯言にしか聞こえないだろう」大統領はゴルゴ13へ電話をかけた後に呟く。
話が横道にそれたが客家人脈は凄いのだ。アジアにおいては陰の政府とも言える存在である。客家は、漢族であるが纏足の文化をもたないことや円形や方形の大きな建物を作るなど他の漢族と違う文化を持っていた。それを思いならの客家料理も一興である。
客家の話で気分を大きくし、豚のレバーでスタミナをつけた、ただの4人のオヤジは夜の巷に流れて行くのだった。

独りでいくべきか、グループで行くべきか
客引きに連れられて行くと、ネットの情報にあったマクドナルドやコンビニが見えてくる。迎えや案内がないとその建物に店があるとは分からない。無機質な金属光沢を放つ小さなエレベーターは許可がないと乗れないシステムのようだ。ここへ一人で来たら怖いだろう、ドキドキしながら部屋へ入ると普通のKTVの雰囲気だった。
可愛い娘たちがランジェリーみたいな露出度の高い制服で迎えてくれる。ショーアップなどお願いしなくても若い娘が勢揃いだ。本番がないから良い子が集まるのだろうか。「いい子ばかりでしょう」愛想の良い中年のマネージャーが指名をうながしてくる。台湾の女の子らしい細身で胸が大きい子を指名した。
彼女は仮にリンリンちゃんてしておこう。部屋に入ると早速身体を密着させてくる。これは良いなぁ。「日本語は話せるの」「我不會說日語」指で×を作る、だったら英語は「我不會說英語」こちらも駄目。そんなやりとりをしながらも彼女の手は微妙な所へ移動していく。
自分を指さして「かもちゃん」次に彼女を手のひらで示すと「リンリン」笑いながら身体を預けてくる。このやりとは、地底世界ペルシダーでも猿の惑星でも言葉の通じない相手とのコミュニューケーションの第一歩だ。次は自分の唇を指さして「OK?」という。

これは昭和のピンサロである
彼女は唇を少し尖らして「ハオ、ダ」舌を出してベロベロしながら「ブシ」と言ってキャハハと笑う。どうやら軽いキスは良さそうだ。女の子によってOKとNOがあるのだろう。唇を寄せると、リンリンちゃん、駄目といった領域に舌が入ってくるじゃないか。悪くないですよ。生殖行為に言葉はいらないのである。
いつの間にかカラオケが始まっている。リンリンちゃんの上着は魔法のように消え去り、柔らかいものが押し付けられる。歌の順番が回ってくる頃には、どちらがマイクかわからないほど固くなっていた。大きさはずいぶん違うけれど。
歌い終わると同時に照明が暗く妖しくなりBGMの曲調が変わった。ピンサロのハッスルタイムである。彼女は指を丸めて上下に動かす。これが噂の抜きタイムか、もう30分たったのか。隣はもうズボンを降ろしている。私も準備はしっかりできているが、みんなの大きいものを見て気後れする。
リンリンちゃんは、もじもじしている私を怪訝な顔で見ていたが、すぐに分かったという風に笑いながら膝にまたがった。しばしお尻を押し付けたあと反対側に行き局部が隣から見えないよう座る。後ろを振り返ってから自分の身体を指さす。「メイクワンシー」難解な仕草だが自分の身体で隠しているから大丈夫ということだろう。「ええ娘やないかい」思わず関西弁になる。シェシェ。
パンツを降ろすとギュっとハグして柔らかい手でつかんでくる。これは気持ち良い。そこからは早かった。黒鉄ヒロシの打ち上げ花火か、ビハンド・ザ・グリーンドアの火口へのジャンプか(どちらも古い)あっと言う間の昇天だった。

旅の教訓 賢者タイムは恥ずかしい
今は後始末を終えて飲み物を飲んでいる。どことなくイカ臭い臭いが漂う。リンリンちゃんは肩紐を戻して寄り添っている。まわりを見るとみんなと目が合う。なんとなくバツが悪い。賢者タイムは共有すべき時間ではなかった。そそくさと店を出る。怒涛の一時間一本勝負は昭和のピンサロの上位互換であった。
エレベーターを降りるとむっとした空気が押し寄せる。後から聞いた話だが、キスやサービスは嬢によって異なりお口でしてくれる娘もいるそうだ。店と嬢に恵まれると持ち帰りもあるらしい、その際は6000元程度かかる。
セクシークラブは楽しいが租珍の持ち主は辛い。仲間の前に晒すのが恥ずかしい。お風呂ならタオルで隠せるがここにタオルは無い。孤独のグルメのように一人で味会うのが良いかもしれない。前菜だけでなくメインディシュは二人でゆっくり味わいたい。デザートの時間も欲しいのである。

旅の教訓 制服店は楽しい
とはいうものの陽気な若い娘と騒いだ一時間は楽しかった。「まぁまぁでしたね」「でも慌ただしいかったですね」「どうします」どうしますってまだ行く気。「みんな一回いってるよね」信じられないと言いながら林さんの笑顔が脳裏に浮かんでいた。


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