ネットに小さく「中国でラブドール喫茶摘発」という記事がでていた。。ラブドールまで捕まえるとは、中国の風俗取締りは本当に厳しくなった。ラブドールといえば、貴州省の山奥、黔東南ミャオ族トン族自治州の季刀村にラブドール仙人が住んでいる。

ラブドール仙人は貴州省に住んでいる
季刀村は貴州省の省都貴陽市から離れた山奥である。仙人はそこに8体のラブドールと息子(俗にいうイチモツではない)と暮らしている。奥さんとは離婚している。「お父さんは変態だからマネをしてはいけない」別れた妻は息子に常々言いきかしている。
仙人はラブドールと肉体関係はないと主張する。彼女たちと一緒に出かけて写真を撮るのが楽しみだそうだ。それだけではないだろう、と疑われると彼女たちの秘所を見てみろと強気にでる。息子はやってるだろう、ど言われると息子の自主性に任せていると答える。人里離れた山奥でラブドールたちとのんびり暮らす、なんとも羨ましい。一緒に暮らす彼女たちはみな美しく眼差しは優しくて静かだ。

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少数民族と世界自然遺産の貴州省
貴州省は一度行ったことがある。習近平政権になっていたがまだ反日も下火でのんびりとしていた頃だ。「貴陽へ行ってきて」上司から指示を受けたが、はて貴陽とはどこだっけとピンとこない。戸惑っていたら「とりあえず現地へ行け、向こうで駐在員が待っている。4泊くらいの用意をしていけよ」だった。
というわけで、広州から貴陽龍洞堡国際空港へやってきた。一泊した広州から2時間弱、昨夜のKTVの女性を思い出してニヤニヤしていたらあっという間に着いた。貴州の空港は想像以上に大きくて駐在員に会えるか不安になる。私が知らないだけで貴州は世界的に有名なところらしい。
「天上に極楽浄土あり、地上に蘇州と杭州があるが、気候の良いところは貴州以外ない」中国では昔からそう言われた。ミャオ族やトン族などの少数民族が多く住んでいる。自然遺産や世界遺産がたくさん有る。現代中国はなにかと評判が悪いが四千年の歴史と自然はたいへんなものである。
入国手続きを終えてロビーに出ると、石川くん(仮名)が名前を書いた紙を持って待っていた。彼の車に乗って貴陽市の中心に向かう。「今日はこれから取引先へ行って、ホテルへ一度帰って、それから貴州料理で宴会です」「取引先といっても仕事の内容は知らないよ」「良いですよ、日本から肩書のある人間が来たことが重要なんです」その頃はちょっとした肩書があった。

貴州料理 酸湯魚は美味い
「貴州料理は辛いから覚悟してください、お酒もみんな強いから気をつけて」と矢継ぎ早に告げてくる。面談相手や仕事についてマシンガンのように話し続ける。これでないと中国では仕事ができないのだなと感心する。窓の外を見ると緑が多い。「夜もちゃんと用意してますから」とそつが無い。エリートは違うね。
宴会は賑やかに終わった。料理はミャオ族の酸湯魚に豆腐丸子が印象的だった。酸湯魚はトマトを発行させたスープに花胡椒などのスパイスや香草を加え草魚をいれて煮込む。酸味が強いがスパイスが効いているので、酸っぱいのが苦手な私も美味しく食べられた。フィリピンのシニガンやタイのトムヤムクンに似てやみつきになる。中国料理は奥が深い。

酒はもちろん白酒である。これで乾杯を繰り返すと本当に酔っ払う。貴州が茅台酒の産地であるのを初めて知った。乾杯を繰り返すと酔ってくる。すると女性が気になりだすのである。外国の女性が綺麗に見えるのはどのような作用なのだろうか。店員のお尻が気になりチラチラ見ていると、石川くんが笑って肘を突つつく。
客と分かれると酔いがどっとまわってくる。「もう一軒いきますか」ここまできたら行かないといけないでしょう。日本人の行くところKTVは何処にでもある。「女性は後から部屋に行きますので、寝てはダメですよ」どこまでもソツのない男だった。
KTVで出会った彼女は髪が黒くてオデコが広くて小柄だった。中国の女性は南へ行くほど小さくなる。彼女と一緒にシャワーを浴びた。小柄だが胸と身体は張り切っていてプリプリしている。これはいいかもと思ったら記憶が無くなった。

旅の教訓 自然遺産 茘波は一泊二日で行こう
電話の音が遠くから聞こえると朝だった。「出発の時間ですよ、ロビーで待ってます」ロビーには石川君と運転手が待っていた。「今日は自然遺産の茘波にいきます」「仕事は昨日で終わりです、昨日の宴会は大成功でした、だから後は観光にします」ご褒美を貰えるらしい。
茘波は確かに素晴らしいところだった。綺麗な滝に古色騒然としたアーチの石橋、深いブルーの水に新緑が映えている。石橋の上を歩くと湖上に浮かぶ小舟が見える。茘波には小七孔と大七孔と呼ばれるふたつの見どころがある。小七孔は石橋のアーチが七個あるからそう呼ばれる。
景色を駆け足で見てまわる。その景色は確かに素晴らしかったけれど、貴陽から4時間半300kmを日帰りするのはちょっと無理じゃないか。東京から日帰りで京都見物するようなものである。白髪三千丈に国でもさすがにその日程はきついでしょう。それでも石川君は元気だ。
帰りの車ではもっぱら会社の話になる。石川君はとても楽しそうだ。「今夜も昨日の店行きます」「いや今日は早く寝よう」と疲れた私は言った。

旅のお勧め 貴州民族歌舞劇院の踊りは最高
次の日は貴陽市内とその周辺の観光だった。甲秀楼、黔霊山公園、陽明祠、青岸古鎮と見どころが多い。運転手付きなので色々回れる。陽明祠は日本に大きな影響を与えた陽明学の祖である王陽明ゆかり建物だ。青岸古鎮は明時代の雰囲気が残る古い街である。貴陽は想像以上の観光地だった。昼は屋台のバーベキューとビールを楽しんだ。
「夜は演劇場に行きます。ミャオ族やトン族の踊りが見られます」と石川君、ますます元気になっていく。演劇場は正式に「貴州民族歌舞劇院」という。大きな舞台を背景に貴州の美しい自然が写しだされる。色とりどりの民族衣装を身にまとった女性たちが舞う。
一口にミャオ族といっても、ロングスカートのミャオ族やミニスカートのミャオ族に分かれるそうだ。それぞれに民族特有の衣装や髪飾り、装飾品がある。舞台の女性たちはみんな綺麗に見える。ライトに照らされた頬は紅潮して輝くようだ。いやがおうにも劣情を誘う。彼女たちはどうしてこんなに魅力的なのだろう。上海雑技団も良かったがここも最高である。

旅の教訓 現地では聞き役になろう
一昨夜の彼女の身体が脳裏に蘇る。会いたい。欲望が頂点に達っそうとしたとき「小娘は後にしてちょっと飲みませんか」と石川君が言う。気分はもうカラオケなんだけど、屋台で飲むことにした。5月の風は気持ち良い。串焼きを肴に飲むビールは最高だ。
「僕、会社やめようと思っていたんです。毎日毎日、アクの強い中国人を相手にして、日本からくる偉いさんをアテンドしての繰り返し。本社のことはなんにも分からない。忘れられたみたいで嫌になりました」「そう」「でももう考えるのをやめました。もう少し頑張ってみます」そんな重い話を初対面の人間に言われてもと、ビールをあおる。なんの肉か分からないが美味い。
なんでも、何処へ行っても女のことばかり考えている私を見ると思い詰めるのがアホらしくなったそうだ。褒められているのかこれ。「石川くん、マスコミはサラリーマンの上司は馬鹿ばかりみたいに書くけど、結構人を見ているもんだよ」「そうですね、僕はサラリーマンの話をしたかったのだけかもしれませね」会社の話を続けていたら「さぁ行きましょう」と突然言出だした。「えっ」「カラオケですよ、明日は休みだから飲むぞ」いやカラオケは飲みに行くところじゃないのだけど、私的には。

旅の教訓 酔い過ぎた夜は独りでホテルに帰ろう
店に入ると一昨日の彼女がいた。一昨日と同じでオデコが広い、当たり前で狭くなっていたら怖い。ニコニコと笑いながら隣に座ると「今日は寝たらダメですよ」と囁く。一昨日はシャワーを浴びてベッドに入ったがその後の記憶がない。そのうちに「起きて、起きて」と身体をゆすられて目が覚めた。どうやら彼女が帰る時間まで寝てしまったようだ。飲み過ぎた夜はひとりでホテルへ帰るのが無難のようだ。
ホテルの外には煌々と灯りがともる高層ビルとその下に闇が広がっている。明や清時代の感じが残る古い建物は闇の中ある。シャワーの音が浴室から聞こえる。今夜は寝たりしないぞ、あそこはもう硬くなっている。

貴州省、駆け足の旅いや出張だったが素晴らしいところだった。もう一度ゆっくりと訪ねたい。シャワーの音が止まって彼女が出てくる。やっぱりラブドールより生身の女性が良い。
 
 



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