夜に来るもの 老いた医師よりも老いた酒飲みのほうが多い

独り言

夜の楽しみはお酒がいちばん。仕事が終わっての帰り道「ちょっと寄っちゃう」で飲む同僚や友人との酒は楽しい。人は楽しいときも悲しいときも酒を呑む。そんな酒と人の付き合いはとても古くからある。太古の昔、ある男が自然発酵して糖がアルコールに変わった果物を見つけた。彼は腹が減っていたので誰も食べなかったそれを勇敢にも食べた。

するとあら不思議、お腹が膨れた上になぜかしら気持ちが良い。ほろ酔い機嫌の彼は考えた。これはみんなに教えないといけない、そのお蔭で、人は他の動物よりたくさんの食物を確保できるようになった。酔拳のように酔って強くなったのである。その子孫である人は本来呑兵衛なのだ。

目次

  1. 人と酒は付き合いは長い
  2. 酒は笑顔を増やし絆を結ぶ
  3. 酒は百薬の長
  4. 女性と飲む酒は楽しい
  5. 西洋の諺 老いた医師よりも老いた酒飲みのほうが多い
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人と酒は付き合いは長い

紀元前3000年頃メソポタミアではもうビールが作られていた。ビールは栄養価が高いことからシカル(液体のパン)と呼ばれ飲料としてだけでなく薬でもお金でもあった。ときに労働者の賃金の代わりに支払われた。ビール100瓶が給料だったら家に帰るまでに随分減ってしまうに違いない。まことに罪作りな給料である。

酒は時代によって薬になったり毒になったりする。米国は一時期、酒は健康を損い家庭を貧困に落とす悪魔の飲み物として法律で禁止した。悪名高い禁酒法時代である。人々は悪魔のようなマフィアから酒を買った。そこは悪魔に近いアル・カポネが密造酒で大儲けし善良な医者は治療用アルコールの使用を政府に懇願しなければならない奇妙な社会だった。

酒は笑顔を増やし絆を結ぶ

酒は悪魔の飲み物かそれとも命の水(ウィスキーの語源)かの論争は永遠に終わらないだろうが、酒に多くの効能があることは証明されている。ピッツバーク大学の心理学チームがある実験を行った。「酒を飲まない男性グループ」「酒を飲まない男性たちに女性を一人入れたグループ」「ウォッカを飲む男性のグループ」の三つのグループが会話したときの笑顔の数を数えた。酒が飲めたり女性と話せるとはなんとも羨ましい実験である。

結果は「女性が入ったグループ」の笑顔の数は「酒を飲まないグループ」より9%多かった。「ウォッカのグループ」は21%も増えた。女性の魅力は凄いがウォッカの威力はもっと凄かった。どうして「ウォッカ+女性一人を入れたグループ」を作らなかったのだろうか。測定不可能になるのを恐れたのかもしれない。

笑顔が増えた理由は人が持つ情動感染という共感能力に起因する。相手が笑うと自分も笑う、相手の感情をコピーすることで二人の間の心の距離を縮める。女性は元々この能力が高く友人や社会的なネットワークが広い。ところが男性は地位や競争に囚われ情動感染を抑制する傾向がある。男は素直に成れない。そこで酒の登場である。酒は男の心を解放し情動感染を高める。酒が潤滑剤と言われる所以である。

酒は百薬の長 王莽の言葉

酒は健康維持の効能もあるらしい。「酒量が極端に少いグループ」と「極端に多いグループ」の心臓病で死ぬ割合を調べた英国の調査がある。死亡率が高いのは両端であり、真ん中へいくほど少なくなる。ほどほどに飲むと心臓に良い効能がある。飲まないより飲んだほうが良いとは心強い結果である。何事も中庸が良いとアリストテレスが言う通りである。

スペインにもありがたい調査がある。適度な飲酒はうつ病のリスクを下げる。酒がストレスや緊張をほぐすからだ。どちらの調査も酒飲みにとって都合が良いが、あくまでも飲みすぎないのが前提である。

「酒は百薬の長」という言葉は多くの人が知っている。だが誰が言ったかと問われれば答えられる人は少ないだろう。これは中国の歴史好きなら知っている王莽の言葉である。王莽は前漢を簒奪し滅ぼした男として歴史に名高い。彼は奸臣として知られているが良いことも言っている

「夫れ塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本」こんな素晴らしい考えを持ちながら前漢を滅ぼしたのち現実を無視した理想すぎる政治を行った。社会はおおいに混乱し民は苦しんだ。それを憂いた洪武帝によって討たれる。政治も酒も極端はいけない。

女性と飲む酒は楽しい

酒がもっとも力を発揮するのは男女の関係である。居酒屋であれ、おしゃれなバーであれ、カップルで飲んでいる二人は普通以上に感情がつながっている。恋の始まりか、恋愛の真っ最中か、それとも別れを感じながらかもしれない。

「私の人生の科学」という本にこのような一節がある、男の脳は、始めての女と食事や酒を楽しむとき、相手が自分を気にいるにはどう振舞えば良いかと猛烈な勢いで計算している。女の脳は相手が自分に相応しいかどうか、表情や仕草を見ながら素早く分析している。

女は男の免疫タイプまで無意識に推測する。男の免疫の型が自分の型と離れるほど子供の免疫は強くなるからだ。女は男の唾液からそれが判断できる。キスができたと喜んでいたら「あなたは私のタイプじゃないわ」とフラれることもある。女とはげに恐ろしき生き物である。

こんな風に最初の出会いはお互いが厳しい緊張を感じている。その緊張感を弱めてくれるのが酒である。男は緊張から解放されて女を楽しませることができ、女は情動感染を高める。女の理性がこいつはダメだと警告しても感情で付き合ってしまうかもしれない。酒は男にチャンスをくれるのだ。

ただ男の夢が実現するのは稀である。なんとかベッドまで辿り着いても飲み過ぎてイチモツが役に立たないこともある。その夜に使ったお金がすべて無駄になる。そんな朝は、飲みすぎはいけない、酒は悪魔の飲み物であると痛感するが、わかっちゃいるけど止められない翌日の夕方になると忘れてしまう。男とは阿呆な生き物なのだ。

西洋の諺 老いた医師よりも老いた酒飲みのほうが多い

There are more old drunkards than old physicians.老いた医師よりも老いた酒飲みのほうが多い)西欧の諺である。酒飲みは長生きする。酒は夜の大きな楽しみである。女性が居れば申し分ないが、付き合ってもらうのは酒を飲むように簡単ではない。

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