ベトナム ハノイ KTVの女性と行く水上人形劇

ベトナム

ホエンキアム湖はハノイの旧市街にある周囲12km(私の目測)くらいの湖である。昔ベトナムを救った皇帝が湖の神から借りた神剣を返した伝説がある。漢字で書くと還剣湖となる。湖畔には寺院や散策路があり観光客だけでなく地元の人ものんびりと散策している。

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ホエンキアム湖は散策の名所

そんな風景のなかに一人の日本人がいる。ソワソワと周りを見渡している姿から誰かを待っているのだろう。待ち人は半分くらいの確率でこない、と思いつつも期待は高まる。売店でビールでも買おうかと歩き出したとき、彼女は道路の向こうからやってきた。長い髪が湖から吹く風に揺れている。

白いシャツとジーンズの姿は、昨夜とうってかわって少女のようだ。こんな少女とデートをするなんて犯罪ではないのかと自問する。彼女は私を見つけると、笑顔になり小さく手を振りながら駆けてくる。この女性の笑顔に勝てる男はいない。

「Waited?」「No」「It’s good」ここからは、英語と片言の英語、日本語の会話だから意訳になる。「気持ちいいね、私ここが好き」微妙な展開だ。「お腹減りませんか」「お腹減ってるの」「少し」「どこかで食べようか」「売店でいいよ」お金を渡すと駆け出していった。丸い小さなお尻が揺れている。昨夜の生のお尻を思い出して頬が緩む。

彼女と湖を眺めながらバインミーを食べる

彼女は、二つのバインミーとジュースとビールを持っていた。バインミーの具がこぼれそうだ。コンクリートの石段に並んで腰をおろし湖を眺めながら食べ始める。ビールが美味い。彼女は昨夜と同じで口数は少ないが美味しそうに食べる横顔はとても可愛い。湖面をゆっくりと時間が流れていくようだ。

なんなんだ、この展開は。良い年をしたオヤジがいったい何をやっているんだ、これは陳腐な青春ドラマではないか。「美味しい」彼女はおっさんの戸惑いなど気にしないでにっこり笑う。二人はこれから昨夜、約束したタンロン水上人形劇を見にいくのである。

タンロン水上人形劇場はホエンキアム湖の北側にある立派な建物にある。建物の前は広い道になっていてバイクや車がどんどんやって来る。彼女は平気で渡っていくがとても怖い。

劇場の前で予め買っておいたチケットを取り出すと吃驚した顔で見返してくる。ちょっと嬉しい。水上人形劇は人気がありチケットが買えない時間があるらしい、だから前もって買いに行ったのだ。短い時間に往復するのは馬鹿みたいだが、女性のためには労を厭わない、これがモテる秘訣である(と思っている)

旅の教訓 タンロン水上人形劇場は絶対いくべき

水上人形劇の歴史は古く、11世紀頃にハノイ周辺のデルタ地帯で農民の娯楽として演じられていた。水面を舞台にして垂れ幕の後ろから人形を操る。西欧のパペットが垂直運動であれば水上人形劇は水平運動になる。水中だからできる技である。

人形の操作は難しく長い修行がいるらしい、水にずっと浸かっているのも大変だそうだ。人形は3頭身くらいでコミカルによく動く。龍が火を吹いたり、失敗をした男が別の男に叩かれたりして面白い。劇に一休さんやホッテン・ホジャの話と同じ庶民のユーモアが溢れている。

政府は、人形劇が観光資源になるのではないかと大きな劇場を作った。それがタンロン水上人形劇場である。政府の目論見は当たった。上演時間は約50分間で17の演目がある、すべて短編で相互の関係はない。龍や亀、ライオンの動物が登場し、人物が戦いや踊りをくりひろげる、ジャンプやファイヤショーもあるので言葉がわからなくても退屈しない。

演目はユーモアに満ちている

彼女は、水上人形劇は何度も見たがこの劇場は初めてだとはしゃいでいる。場内には欧米人の姿が目立つ、インド人や日本人もいるがベトナム人は少なく観光客向けであるとわかる。舞台は正面にある水面である。オーケストラの席がその左右にあり演奏とナレーションが行われる。人形の挨拶からショーが開幕する。

生演奏のエスニックな音楽が雰囲気を盛り上げる。彼女は手を組み大きく目を開いて真剣に見ている。次々と続く寸劇は劇というよりダンスや歌謡ショーのようだ。彼女は演目ごとに笑ったり心配そうな表情をしたりする。ときどきこちらを向いて解説してくれる。その嬉しそうな横顔がまた可愛い、この表情に勝てる男は世の中に少ない。

東京公演のニュースを見て依頼、ベトナムへ行けばぜひ見てみたいと思っていた。こんな形で実現するとは人生は分からないものだ。感慨にふけっていると演目は仙女の踊りになっている、人形の手の動きが艶めかしい、人形に色気を感じる自分が情けない。

劇の後に大人の時間

劇が終わり売店で人形を買って建物の外に出る「何か食べてからお店に行こうか」とたずねると「今日は店に行かないで良いとママが言った、今夜は一緒にいたい」と上目つかいに見つめてくる、その顔はさっきまでの少女から大人の女になっていた。これだから女は怖い。下半身に電流が走る。

「昨日と同じで良い」彼女は頷いて手をぎゅっと握ってくる。昨日はこの「ぎゅ」に負けてしまった。これに抗える男は世の中にまず居ない。220万ドンとママへのチップ20万ドンは高いかな、と頭に浮かんだがすぐに消えてしまった。今日も彼女の「ぎゅ」に簡単に負けてしまった。

そうと決まったら急がなくてはいけない。ベトナムでは未婚の男女が夜の10時以降に同じ部屋にいてはいけないのだ。ホエンキアム湖の西岸におしゃれなレストランが多くある、そこでフォーを食べよう。時間は少ないが腹が減っては戦はできない。

年を取ると色んなことを整えないといけないのがもどかしい。彼女はタクシーでも口数が少なく手を強く握っている。おっさんはその柔らかさにメロメロなのだった。

旅の一夜の楽しみ方

夜の遊び方は十人十色、人によって色んな楽しみ方がある。性欲を解消するため取り敢えず抜くのも当然ありだ。サクッといくのも良いが、たまには「している」以外の時間を二人で共有するのも良いものだ。

今夜の彼女は昨夜より奔放だった、上になった彼女の長い黒髪が激しく揺れていた、昼の時間が二人の心の距離を縮めた。縮まったと感じるのは幻想かもしれない。その感じに酔っても怒る人はいない、だからこのひとときを楽しもう。

異国の女性と一時の出会いは男の憧れである。少し前まで、韓国や中国の女性たちが当たり前のように昼の観光に付き合ってくれた。経済が発展して国が豊かになるとそれは減っていく。ベトナムにはそれがまだ残っている。チャンスは長く続かないかもしれない。善は急げである。善かな。

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