台湾に来たけれど今回の楽しみは観光と酒と食事に限られる。とはいっても男の悲しい性、夜の楽しみが気にかかる。前回来たとき林森北路のキャバクラは閉まっていた。今は開いているのだろうか。

2023年3月 キャバクラ通りは暗かった、時間が早いのか
いけないと分かっていても様子だけでも見ておきたいのが人情である。男は仕事ができなくても、こういうときは知恵が回る。頭の中身に差があっても下半身はあまり変わらないである。食事のついでにちょっと覗いてみるくらいはできるだろう。キャバクラ通りの入口に梅子餐廳というレストランがある、観光ガイドにも乗っている店だから夕食の場所に選んでもおかしくは思われない。
日暮れが迫る街をぶらぶら歩く、街の看板に明かりがともると台湾らしさが増してくる。日本人の好きな台湾料理店「青葉」の前を通り過ぎて大きな道路を渡れば梅子である。「ここが予約した店だよ。此処から先が大野(仮名)さんたちが大好きなキャバクラがあるところ」と言いながら店の前を通り過ぎる。
「何処へ行くの」「ちょっと見学」表情に出さないが内心ドキドキである。コスプレのお姉さん達から声をかけられたらどうしよう。そうなると困るけど立っていて欲しい気もする。だが通りはアンビバレンツな心と裏腹に暗く静まり返っていた。セーラー服もチアガールもいない、まだ6時半と早いからだろう、きっと。「どこまで行くの」引き返して梅子の階段を登る。

台湾料理 梅子餐廳 日本語がOKのレストラン
梅子は日本人の客が多いというより殆どである。店主の梅子さんやスタッフは普通に日本語を話す。以前、それを知らずに日本語だったら何を言っても分からないと、思いっきり下品な話をしてたいへん恥ずかしい思いをした。海外では気をつけないといけない、思いかけないところに日本人がいる。
ここは日本と同じように取り皿を替えてくれるし料理も取り分けてくれる。小籠包以外の台湾料理が揃っていていて味も悪くない。日本人が多いので異国情緒が薄れるがそのぶん気楽に行ける。そして日本の食べログで予約ができる。

台湾美人のお迎え、でも予約が入ってない
「いらっしゃいませー。ご予約ですか」と台湾美人が迎えてくれる。「沒有預約」彼女は美しい顔に笑顔を浮かべて宣告する。「沒有」このメイヨーとかプーヨーが出てくるとあまり良いことがない。食べログ君いったいどうなってるんだよ。食べログで、ネットでとかモゴモゴ言っていたら「席が空いてるならお通しして」とお声がかかった。梅子さんである。
台湾美女の笑顔が一層の輝きを放ち末席に通された。やはり妙な下心に罰が当たったのだろうか。海外の予約はリコンファームが必要と感じるが、それが嫌だからネットで予約したのに、と心の中でブツブツを言いながら台湾ビールを注文する。つきだしのピーナッツが美味い。ビールで喉を潤してからカラスミと空芯菜の炒め物をお願いする。
空芯菜はアジア料理の定番で、マレーシアでも中国でも、日本の中華街でもこれを頼んでおけば間違いがない。カラスミはネギと大根のスライスと一緒に出てくる。ネットリとしたカラスミとネギの香り、大根のシャクシャクとした歯ざわりが合わさると美味い。カラスミは紹興酒を添えると味が複雑になっていっそう旨味が増す。

旅のお勧め カラスミには紹興酒が良くあう
漫画「美味しんぼ」では、山岡が、クチコや生牡蠣を食べてワインを飲むと生臭さが強く残るが、日本酒を飲むと旨さが増すと何度もいっている。紹興酒も同じ効果がある。そんな古いネタを語っているうちにご機嫌になり食べログの予約のことは忘れていた。続いて蟹おこわとイカボールを頼む。カラスミと蟹おこわのおかげで、気前が良さそうと思われたか梅子さんのお話が長くなった。
イカボールは勝手に名付けた名前だが、イカのすり身をボールして揚げたもの、イカの香りが強く焼イカのように感じる。蟹おこわは、蟹の身と小エビやしいたけを具にしたもので鶏肉も入っている。その上に蟹がどーんと乗っかっている。おこわはモチッとした濃い味で、蟹の味はしないが小エビが効いてなかなかの味である。難点は量が多いことだが、残ればかわいい紙パックに詰めてくれるので安心だ。ホテルで食べる冷えたおこわもまた美味しい。
更に千切り大根の卵焼きとアサリの醤油漬けを頼もうとしたが、ビールを飲みすぎたせいかお腹が一杯になってしまった。どちらもこの店の評判の料理で、特にアサリの醤油浸けは日本にあまりない味でビールの肴にぴったりだ。先に頼んでおいたら良かったと後悔した。
ビール3本、紹興酒2合、カラスミ、空芯菜の炒めもの、イカボール、蟹おこわで3157TW$(15,300円くらい)だった。レシートを残していないので定かでないけれど、空芯菜が180TW$(870円くらい)だから、蟹おこわとカラスミが高かったのだろう。他の店と比べて安くはないが行って見る価値は十分ある。

旅の教訓 通りは暗いがキャバクラは営業していた
店から出てキャバクラ通りを眺めるとやっぱり暗いままだった。時刻は8時くらいなのにまだやっていないようだ。ひょっとして未だ閉まったままなのか。コロナ以前、この通りは賑やかだった。コスプレのお嬢さんが立っていて声をかけてくる。それが楽しく何度も足を運んだ。
カラオケを歌ってから一夜を過ごす、このアジアのシステムは本当に楽しいが、何故か日本には無い。温泉宿のコンパニオンさんとカラオケへ行ってからや、デリヘリのお姉さんとの食事ができるオプションはあるが、コンパニオン料金がつくからとても高くつく。カラオケからデリヘルに移る業態が許されても良いと思うのだが、お上の考えは分からない。
そんなことを考えながら眺めた通りは暗い。確かめてみたいけれどそれはできない。しかし気になる。ここはXやラインの無料相談所の出番である。情報ではプレステージやG線クラブ、シュガーベイビーは営業となっている。通りが暗いのは時間がまだ早いのか昔ほど派手にやっていないのか、確かめられないのが残念だった。

円安でもキャバクラ遊びはやめられない
料金はコロナ前から少し上がったという噂だが、飲み代1,760TW$、店に払う分が2,200TW$、ショート7,000TW$とあるからそれほど変わっていない。だが円安の影響が厳しい、2019年のレート3.6円が今は4.8円になっている。総額10,960TW$は39,456円だったのが52,608円になる。その差は13,152円、さっき食べた梅子の食事代くらいだ。ただでさえ高めだった台湾の風俗が円安で更に高くなっている。
「今夜はどうしますか」「どうしようかな、君の予定は」空いてるから側にいるのだが意地悪を言ってみる。「空いてるよ」と体を預けてくる、身体の柔らかさと温もりが伝わってくる。白い手が太腿に伸びてくると陥落寸前だ。「どうするの」彼女の吐息が耳元にかかるともう終わりである。こんなやりとりが楽しい。日本のキャバクラのようにお寿司を食べて「ご馳走さま〜、帰ります~、ありがと」の非情はない。

カラオケの後に確実に楽しいことが待っている、円安でもこれはやめられないのである。今度はKTVに行ける状態でやってこよう、再見。
コメント