アメリカ サンタアナのAV自動販売機

アメリカ

米国やヨーロッパには殆ど行ったことが無い。それでも何度か仕事で訪ねたことがある。初めて言ったのはカリフォルニアのサンタアナだった。日本人大リーガーの草分け、野茂英雄投手がロサンゼルス・ドジャースで活躍していた頃だった。会社に入りたての若造は出張を命じられて舞い上がってしまった。

とてつもなく明るい空、ビーチボーイズの曲が流れる浜辺で金髪のビキニ姿が笑いあう、そんな光景がきっと見られるはずだ。帰りにはプレボーイやハスラーを買ってかえろう。上手くいけばポルノビデオを買い込もう。ひょっとしたら白人のお姉さんとの一夜も、想像するだけで股間が固くなった。まだ世界は広く今よりずっと平和だった。

その期待は出だしから裏切られる。平社員の乗る席はもちろんエコノミー、アメリカまでの11時間はあまりにも長かった。先輩社員は空いているのを良いことに、席の肘掛けをあげて寝転んでいる。緊張した私は当然寝不足になった。ロサンゼルスの空港に着き寝ぼけ眼をこすりながらタクシー乗り場に向かうと所々に黒人の男がたむろしている。その体の大きいこと、お尻の巨大さはどうだろう。それにピッチリしたジーンズの股間の膨らみ。これは絶対勝てへんな、と白人のお姉さんとのアバンチュールに暗雲が漂う。もう少し大きければ。

オレンジカウンティにあるサンタ・アナは埃っぽい場所だった。崩れかかった塀やその前を走る車は凹んだり傷だらけばかりだった。それからも思っていたのと違うことばかりだった。用意された宿泊所はシュワルツェネッガーが暴れたようなモーテルだったが、フロントのおっちゃんにからかわれる。「日本のコンピューターのように何でも早くできない、ゆっくり待て」客先では数字の6と4を間違えるなと怒られた。外人が書く4が6に見えたのだ。

海辺のシーフードレストランでは、料理の量が分からず注文が上手くできなかくて、おばちゃんウェイトレスに笑われた。「Is it enough for me?」後から考えたら、おばちゃんにこのおどおどした日本人がどれくらい食べるかなんてわかる筈がない。でてきた料理は3人分くらいあった。もうヘトヘトだが、ここで食べたハンマーでかち割るロブスターは美味かった。席から見える海に金髪ビキニは居なかったが、食事をするポロシャツ姿の家族、紺の制服と白いエプロンをつけた太ったウェイトレス、やっぱりここはアメリカだった。

次の日のプレゼンが終わり、客先のデザイナーからイタリアンレストランでディナーを奢られることになった。ここでまた吃驚である。デザイナーが席に着くと、小柄な頭の禿げた主人が挨拶にやってくる。この姿イタリア人に違いない。まるでゴッドファーザーのシーンである。続いてギャルソンがやってきた。これが驚くほどの美青年である。

金髪、小さな顔、長い手足、ディカプリオの若い頃、そんな男子が何人もいる。まるでアニメだ。自分とは同じ人間とは思えない。日本女性が外人にハマるのも宜なるかなである。更に驚かされたのは、ランジェリーショーが始まった。金髪、青い目、小さな顔、白い肌、細く長い手足、ギャルソンの女版である。その体を白や紫のランジェリーに包んで闊歩していく。この店は上品な店なのか、みんな綺麗だなぁ。

そこでお客と別れてモーテルへ帰ることになったが、普通ならもう一軒、アメリカならストリップバーだろうと期待する。あんなショーを見せておいて酷じゃないか。しかし同行した先輩社員はそういう方面には全く興味がない。「一人歩きは危ないよ」今夜は終わりだった。

一人は怖いので一緒にモーテルへ帰ると、なんとロビーにポルノビデオのレンタル自販機があるではないか。AVのパッケージは国を問わず興奮させる。仕方がない、というより今夜はこれで楽しもう。とコインをいれたのだが、機械は沈黙。酔っ払った頭で操作を間違ったかなと、ガチャガチャしていたら。

「それは、壊れているんだ。アメリカの機械は日本製と違って壊れるんだよ」フロントのおっちゃんである。「そうなんだ、諦めるよ」「お金は」なにか疲れてしまった。「もういいよ、チップにどうかな」「いいのか、日本人は機械と一緒で良いやつばかりだな」なんだか日本製の機械にこだわるフロントマンだった。

次の日も、本格的なイタリアンレストランで夕食を取った。 Antonello Ristoranteだったか忘れた。カリフォルニアまできてイタリアンばかりって何、だがここも美味しかった。中流階級のちょっと上品な雰囲気を味わえた。だが、そこで終わって大人しく帰ったのである。ホテルへ帰ってロビーの自販機を見ると昨日のままのようだが、フロントのおっちゃんが笑って指を立てる。今夜もチップか、とコインを入れるとガッコンと落ちてきた。

その夜は、金髪、青い目、ウォーターメロンのような胸を持った女性でたっぷり楽しんだ。あこがれのアメリカでの初めて使ったイチモツは自慰だった。次の日はニューヨークの予定である。そこで初体験をするのだがまだ知らない。

サンタ・アナは、金髪のビキニも風俗も楽しめなかったが、アメリカの気分は十分に味わえた。アメリカは自由の風が吹いていた。アルバート・ハモンドが歌ったカリフォルニアの空は確かに青かったのである。アメリカは広い。これは行ってみないと分からない。

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