「40歳と言ったって、僕らの年からしたら十分に若い。それに熟女はね、ときどき本気になるんだ」「外れもあるけど、安いから許せる」「あはは」バンコクで偶然会った二人の先輩は好色そうに笑った。彼らはタイとマレーシアに長く駐在し、会社をやめてからバンコクに住みついている。これは彼らが時々行くマッサージ・パーラーの話である。

思い立ったが吉日で、目指すはビワカフェ
そういう考え方も有るんだ。マッサージ・パーラーといえば若くて綺麗な女性を指名するかばかりを考えていた。そういえばベトナムで熟女の本気に出会ったことがあったな。あれはなかなか良かった。それを思い出すと行きたくなる。善は急げだ、いや善ではないな、思い立ったが吉日にしよう。まだ日は高いが出かけた。
BTSのスクンピッド駅からラムカムヘン駅へ向かう。駅から店までネットの情報を頼りに歩く。このペチャブリー地区にはマッサージ・パーラーがたくさんある。先輩の話に触発され目指すのはビワカフェ、老舗店である。コスパの良さから日本人だけでなくタイの人も行く人気の熟女店だ。
鬼が出るか蛇がでるか、気合を入れて店に入ると金魚鉢の前に案内される。1000バーツと1300バーツの女性が別れて座っている。その差は容姿だけではわからない。子供のあるなし説があるがどうだろう、みんな子供があっておかしくない年頃に見える。来る前に聞いていた通り若い娘はいない。ミニドレスより屋台でTシャツを着ているのが似合うようなおばちゃん達である。

ビワカフェの熟女は本気だった
なんというか、これは選ぶのが難しい。孤独のグルメ状態だ。どうする、どうする。こういうときは胸が大きくて愛嬌がある女性を選ぶことにしている。一人の女性と目があった。このおばちゃんにしよう。1300バーツを払って部屋に行く。タイの女性にしては背が高く165cmくらいある。お年は30代後半か。顔と表情は風俗というよりレストランの店員さんという感じである。居酒屋で個室に案内される気分で部屋に入る。
「こんにちは、よろしくお願いします」「こちらこそ、僕はかもちゃん」話かけるのだがもう一つノリが悪い。よそよそしいというよりぎごちない。まさか新人か。体を洗うときもタオルを落としたり緊張している。「大丈夫」「OK」ぎごちない笑顔が返ってくる。これはハズレだったか、でも安いからまぁ良いや、と諦めかけたのだが。
彼女はベッドに行くと突如変身した。横たわるやいなやもの凄い力で抱きついてくる。唇を強く押しつける。彼女の股間に手を伸ばすと大きな喘ぎ声で体をそらす。いったい何が起ったのか。怒涛のようながぶり寄りである。これはガチンコ、セメントマッチだ、神奈川沖浪裏、弄ばれる船のままではいけない。こちらも思わず本気になる。疾風怒濤の時は彼女のひときわ大きな声と硬直で終わった。
どうしたんだ。美味しんぼで道場六三郎のすっぽんの唐揚げを食べた面々が「夢中で食べてしまった。もう少し味わえば良かった」と言う状態である。そんなの誰も分からない。

旅に教訓 熟女店は本気に会える確率がたかい
静かな部屋に二人の荒い息遣いだけが聞こえる。やがておばちゃんが照れくさそうに話し出した。「驚いたでしょ、本気になっちゃた」「いいや良かったよ、僕が嫌そうだったのに」「バカ、そんなことない」といって腕を叩く。「あんたがツボにハマりすぎて緊張してたの。部屋に入ってからもずっと興奮していてちゃんとできなかった。とうとう我慢できなくなったのよ」ということらしいが、ほんまかいな。
「嘘じゃないよ、何回もイッたの分かったでしょ」「たしかに」あれが演技ならほんと素晴らしい役者である。それから寄り添いながら彼女の色んな話を聞いた。彼女の手はその間もずっと私のあそこにある。そのうち回復してきたのか少し反応してしまう。彼女が嬉しそうに見上げてくる。「もう一回いいよ」「でも普通は一回だけだろう、いいの」
「ばかね、私がしたいの」恥ずかしそうに胸に顔を埋めてくる。その恥じらい、まるで少女じゃないか、少女はこんなことを言わないだろうが。おばちゃんの手は動き続ける。さっきの本気は気持ち良かった、どうしたものか。「早く」彼女は人の気持ちに関係なく次のステップに取り掛かっていた。
バンコクに住み着く先輩二人がいったように熟女は本気になった。私のどこが気に入ったのかは分からないが、女性にもそんな気分の日があるのだろう。その日は性の快感を十分に知った熟女のほうが若い娘より多そうだ。熟女パーラーは本気を味わえる確率が高いのである。

ビールのつまみは、ルークチンがよい
若い娘がボージョレヌーボーなら彼女はボルドーの10年物である。若い娘がモッツァレラなら彼女はモンドールだった。その濃厚さの差はお刺身定食とフレンチのフルコースくらいあった。日本に30させ頃、40のし頃という諺がある。昔の人は良く知っていた。この濃厚な味は毎日楽しむのは無理だが、たまに食べると大変けっこうなものである。
店をでるとなんだかお腹が空いてきた。激しい運動をしたせいだろうか。隣のペチャブリー駅まで行って何かを食べて帰ろう。駅の近くに日本料理やレストランバーがあった筈だ。ぶらぶら歩いているとおばちゃんの「バカ」といって恥じらった顔が浮かぶ。あのおばちゃんは庶民的だった。
今日はきっとレストランでなく屋台の日なんだろう。屋台か食堂でルークチンでビールを飲んで、ソムタムで野菜を補充して、カオパッドでお腹を膨らせて帰ろう。ルークチンはエビや豚のすり身を丸めたものを茹でたり焼いたりする。ビールにはこれを揚げたのが一番合う。途中で見つけた食堂の小さな椅子に座ってビールを飲むとおばちゃんの笑顔が浮かんでくる。おもわずニンマリする。不思議なことに記憶の中のおばちゃんがどんどん美人になって行く。

旅の教訓 熟女パーラーもたまには悪くない
おばちゃんには300バーツと格段に多いチップを渡してしまった。彼女はもちろん大喜びでハグして強引にライン交換まで進んだ。タイの女性は優しいが怒らすと怖い、惚れられたとしたらやばいかもしれない。そんな心配はいつも杞憂に終わる。
先輩に言われてきてみたが、なるほどビワカフェは屋台の味のマッサージパーラーだった。たまにはいいかも。


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