フィリピン マニラ フィリピン娘の手は優しかった

フィリピン

今は午後10時くらいだろうか、椅子に座ってサンミゲールを飲んでいる。飲み会のあと、ホテルに帰って飲む一杯のビールは喉に心地よい。女性が使うシャワーの音が浴室から聞こえてくる。期待は高まるがばかりだが、今日は一抹の不安があった。

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旅の教訓 ショーのあるバーは楽しい

彼女とはザ・ベイで出会った。ザ・ベイはフィリピンの店の分類ではストリップバーになる。ショータイムは大きなステージに女性が次々と登場する。本格的なダンサーもいれば裸になるだけの娘もいるが、酒を飲みながら見るのは男の本能をくすぐりなかなか具合が良いのである。

今夜は本格的なダンスを踊っていた娘を指名した。ステージの彼女は大きく見えたが、席に着くと以外に小柄だった。出るところと引っ込むところのメリハリが効いた身体は素晴らしい。腹筋がバキバキに割れている。ダンサーなのでこの後つきあってくれるかわからいのに、既に涎がでそうになっている自分が恥ずかしい。

会話は日本語と英語のチャンポンだが彼女も楽しそうに見える。彼女は仕事だけどそれだけの気持ちではないと信じたい。暫くすると他のメンバーが相手が見つかったので引き上げるという。ダンサーだから駄目かなと思いつつたずねると、にっこり笑い「行きたい」との返事。ちょっとうれしい。

飲代1000ペソ(女性ドリンク含む、2200円くらい)とショート5000ペソのバーファインを払って店をでた。台湾や韓国に比べるとずいぶん安い。彼女たちに食事を提案すると、ご機嫌になり雰囲気が彼女たちの大きな胸のように盛り上がってくる。フィリピン娘の陽気さは根暗の日本人を簡単に虜にしてしまう。

陽気な会話が続くなかで、指に刺さった棘のようにチクチクと心配事が心にひっかかる。大切なところが昼の観光のとき傷ついたようなのだる。クレヨンしんちゃんで言う、おいなりさんの裏がヒリヒリするのだ。この状態でちゃんと使えるのだろうか。ダウンしたままだったら・・・不安は増していく。

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気がつけばシャワーの音が止まっている。フィリピン女性らしい固太りの体を白いバスタオルに包んでベッドの側に立っている。ベッドに居ない私を見て「どうして」と目で問いかける。Actually,I was injured・・・今日の観光のことを話した。

旅の教訓 タール湖の渡し船はずぶ濡れになる

筆者注 タール湖は、2020年1月の中央の火山が大噴火しました。今、観光できるのか良くわかりません。

「今日はタール湖見学です」テンションの高いガイドさんが予定を伝える。「朝食とったらロビーに集まってくださーい」タール湖見学って何だろう。風光明媚なところなのか。ガイドさんの言葉に従い車に乗るが湖のことは何も知らない。まぁ、良いか。

湖に向かう途中、ところどころに簡易な屋根の果物店があって、色とりどりのフルーツが並んでいる。色から完熟しているのがわかる、きとお美味しさのだろう。南国の空は綺麗に晴れわたり、道路の傍らのヤシを揺らす風が気持ち良くこの景色を見るだけでも来た甲斐がある。やがてタール湖が見えてきた。大きなカルデラ湖の中央に小島があり噴煙をあげている。

車は湖を見下ろしながら、湖畔に降りて食堂のような建物に入った。庭先にたくさんの船が繋がれている。この船で湖を渡り噴煙を上げる小島にいき山登りをするらしい。船頭にうながされて船に乗ると出港である。小さな船はなかなか風情があっていいな、と思ったのは一瞬だけで、船がスピードをあげると波しぶきが容赦なく飛んでくる。

船頭は客に飛沫が当たっても全く気にせずぐんぐん加速する。わざとやってるんじゃないか。足元にゴミのようなビニールがある。どうやらこれで水しぶきを防ぐらしいが、こんなヘタれたビニールでできるわけが無い。案の定全身びしょ濡れである。

水はお世辞にも綺麗とは言えない。口を閉じても目の粘膜から細菌が入りそうだ。行ったら帰る、またこれで帰るのか。濡れないためにはカッパがいるがそんなものがあるはずがない。髪の毛から水が滴りパンツまでぐっしょり濡れた頃に島に着いた。

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水辺にアヒルの親子がのんびり泳ぎ、浜では犬が昼寝している。「こちらで〜す」ガイドさんのテンションは水びの試練の後も高いのだ。案内された先に馬が見えると嫌な予感がしてきた。「これから馬で頂上までいきます」馬はお尻が痛くなるのになんと無慈悲な宣言だろう。「ガイドさんはどうするの」「乗りません」と笑いながら答える。乗らないのには理由があった。

馬は、馬子が手綱を取り乗りては鞍の前にある突起を掴んで乗る。どの馬もあまり大きくなく、私の馬はひときわ小さい。乗るのが気の毒になるが、馬子はそんなことは気にしない。ゆっくりとした足並みで出発する。

馬が行くのだから、道は広いのかと思えばなんのことはない。水が山肌をえぐった溝を使った細い山道である。乗り心地はたいへん悪くお尻が鞍に安定しない。細い道を延々と進んでやっと緩斜面の草原に到着した。ここでは地面から水蒸気が吹き出している。視界が一挙に広がる、この風景は良いなぁ。

旅の教訓  馬に乗るときは股間に注意

馬がサービスエリアのような場所に着くと残りは歩きになった。股間に違和感を感じる、鞍であそこが擦れたようだが我慢して歩くと違和感を吹っ飛ばすような景色が広がる。小島の中央にまたカルデラ湖がある、その中に更に小さな島がある。素晴らしい、カルデラ湖のマトリョーシカである。股間を痛めても来る価値はあった、とそのときは思ったのだが。

帰りは下りだ(当たり前)馬子は私が馬に慣れたのを見てスピードを上げてくる。鞍の棒を掴んで振り落とされないようにリズムを合わせるがこれが難しい。おいなりさんが強く鞍に当たって痛い。そのうち馬子が後ろに乗ってくる。二人乗りになると更にスピードを上げる。

暴れん坊将軍みたいだが、落ちないように必死に耐えているだけだ。痛みは益々ひどくなる、もう止めて。馬子はそんな私に大きな声で話かけてくる。

旅の教訓  チップを貰うマニュアルあり、出すかどうかはあなた次第

「この馬は妊娠していて来月出産する」そんな馬に男が二人も乗るのは虐待じゃないのか。彼は全然気にしない。馬が跳ねてあそこに激痛が走る。「奥さんも来月3人めを生む。景気が悪いので困っている」固まる私を気にすることなく話かける「リアリー、ズキッ」「イェス」・・・いい話やないかい、私の心の琴線に触れた。

そうか頑張ってるんだ、少ないけどチップをあげよう。君に一枚、馬に一枚だよ。馬がもらってどうするの。必死で耐えているうちに出発点に戻った。おいなりさんがズキズキする、血が出ているような気がする。更に船の苦行が待っていた。

帰り道、湖が見えるレストランで遅い昼食をとった。ビールを飲んでいるとマリアッチがやってきた。チップは100ペソで4曲、演奏と演歌を歌ってくれた。一人が気持ち良くなって話しだした「今日の馬子さん、子供ができるそうなんだ。おめでたいことに馬にもできるらしい、だからチップあげた」もう一人が言う「そう、僕もあげた」

なんのことはない、みんな同じ話を聞かされていた。たぶん国別のテンプレートが有るのだ。すっかり騙されたけどなんだかおかしい。窓から緑のジャングルと陽光で光る湖面が見える。風は暑くなく爽やかだ。頑張る馬子は、今も「奥さんが」と日本人の客に話しているのだろうか。みんな大笑いした。

帰る途中、サンミゲールの工場を通る。敷地内のようだがいいのだろうか。サンミゲールは日本のビール会社の資本が入っている。ここでも日本人が働いていると思うとなんだか誇らしくなった。車は感慨にふけりたいのを無視してとにかく揺れる。

揺れは容赦なく股間に響き心配と痛みはどんどん大きくなる。擦りむけだけでなく機能まで壊れていなければ良いのだが・・・数日間、使えなかったらどうしよう。ホテルへ帰ってシャワーを浴びながら調べると、なんと心配した通りおいなりさんさんの繋ぎ目あたりから血が出ている。もうダメかもしれない。

彼女はヒーリングハンドを持っていた

だから自信がないと話すとアハハと笑う。うけようと思って話していないが・・・ちょっと嬉しい。「たいへん見てあげる、コッチきて」とベッドへ上がってくる。仰向けに寝転ばされ、膝を叩いて上を指差す。膝を立てろと言うことか。マングリ返しでなくチングリ返しである。彼女は棒を掴んでおいなりさんの裏側を見つめる。バスタオルが外れて豊かな乳房が現れる。ズキッとくるが痛みではない。

「ケガしてるぅ・・・イタイ?」といいつつ、愚息を片手に持ちもう一方の手の指で触ってくる。「イタイカ」痛いけど気持ちが良くてピクッとなる。「アレ、ゲンキー、キャハハ」「そうだね」「ダイジョブ」不覚にも愚息は元気になっていた。彼女の優しい手に包まれ復活したのである。

彼女はヒーリングハンドの持ち主だったのか、ありがたいことだ。もう乗るのは馬でこりたので、上に乗ってもらった。小柄なフィリピン女性にピッタリの体位だ。先程までの心配はどこへやら全力疾走をしてしまう。終わると彼女が手を伸ばしてくる。「イタイ?」「痛いけど大丈夫」「ウフフ!ヨカッタネ」

明るい笑顔と魔法の手で心配はふっとんだ。これは、チップをはずまないといけない。馬にチップ、馬子にチップ、彼女にチップ、フィリピンは物価が安いからまぁいいか。「明日もくる?」もちろん行きますとも。マニラの夜は更けていく。

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